トップページへ
自動車整備お役立ち情報のキャラクターです

サーキットテスターで暗電流を測定
ワニグチクリップと暗電流テストフックを使用

測定値が表示されている写真です

暗電流とは?

暗電流とは、イグニッションスイッチがOFFの状態でも、時計やカーナビ、ECUの学習メモリーの保持のために常時流れている待機電流のことです。最近の車はスマートキーやセキュリティー、ドライブレコーダーなどの電装品により、暗電流が高くなる傾向にあります。
暗電流はバッテリーから常時消費されていますので、あまり乗らない車や、電装品の不具合で多量に流れてしまっている場合、バッテリー上がりの原因となります。
正常な暗電流値を把握したうえで、定期的に測定しておくと安心です。

■ワニグチクリップと専用フックを使用するメリット

サーキットテスターで暗電流を測定するには、アース線とバッテリー端子の間にテスターを直列につなげる必要があります。単純にアース線を外してテスターを直列につなげれば測定はできますが、アース線の端子を外した瞬間に車両メモリーは消えてしまいます。
車両メモリーを消さないためには、テスターのテストリードをバッテリーとアース線の端子に接触させたままの状態を保持してアース線を外せばOKですが、一瞬でも接触が外れると電流が途切れて車両メモリーは消えてしまいます。
ワニグチクリップと暗電流測定用専用フックを使用すれば、それぞれの端子にテストリードを固定できますので、車両メモリー消去のリスクを最小限に抑えることができます。

■車両メモリーの消去とは?

バッテリーの配線を単純に外してしまうと、電装品に常時供給されていた電源が遮断されてしまうため、メモリーが消去されてしまいます。時計やカーナビの設定が消えるだけではなく、アイドリングが不安定になったり、燃費の悪化、パワーウインドウやアイドリングストップ機能などに不具合が発生することがあります。

■使用するテスター・別売付属品

100mA以下の直流電流が測定できるサーキットテスターを使用します。
この記事では、カイセのサーキットテスターと別売りのワニグチクリップ、暗電流テストフック、リード線、テスト棒を使用しています。

デジタルサーキットテスター(型式:KU-2600)
ワニグチクリップ(赤)(型式:942R)
テストフック(型式:790)
リード線(型式:100-40)
テスト棒(黒)(型式:766B)

※別売りのワニグチクリップ(赤)、テストフック、リード線、テスト棒(黒)は、テストリードキット(型式:100-41)に含まれています。

測定方法

  • ❶エンジンを停止して、ルームランプやヘッドライトなどの電装品がOFFになっていることを確認します。エンジン停止直後は電流が多めに流れているため、15~20分程度放置します。
  • ❷リード線(赤)のプラグにワニグチクリップ(赤)を差し込みます。リード線(黒)のプラグにテスト棒(黒)を差し込み、先端に暗電流テストフックをねじ込みます。
    ワニグチクリップ、テストフック、リード線、テスト棒をセットしている写真です
  • ❸サーキットテスターのスイッチを「A」に合わせて、黒のテストプラグを「COM」へ、赤のテストプラグを「10A」へ差し込みます。
    ※万が一大きい暗電流が流れていた場合、「mA」レンジではテスターのヒューズが切れてしまう恐れがあるため、まずは大きいレンジ(Aレンジ)で測定しましょう。
    サーキットテスターのスイッチをmAに合わせて、赤・黒プラグを差し込んでいる写真です
  • ❹バッテリーのマイナスターミナルのナットをゆるめて2~3mm引き上げます。テストフックをバッテリー端子の隙間にはめ込み、赤のワニグチクリップをマイナスターミナルに挟みます。
    バッテリーの(-)ターミナルにフックとワニグチクリップ接続している写真です
  • ❺接続を確認してバッテリーのマイナスターミナルを引き上げます。
    バッテリーの(-)ターミナルを引き上げている写真です
  • ❻サーキットテスターに暗電流の測定値が表示されます。
    測定値は0.022A(22mA)となりましたが、このテスターはAレンジの確度が「±2.5%rdg ±4dgt」であるため、読み値(rdg)に±2.5%、さらに最少桁(dgt)に±4の誤差が有り得ることになります。
    mAレンジでより正確な測定をしてみましょう。
    ※mAレンジの回路は0.5A/250Vのヒューズで保護さています。Aレンジの測定値が0.5Aを超える場合は、mAレンジで測定するとテスターのヒューズが切れる恐れがあります。
    測定値が表示されている写真です
  • ❼一旦マイナスターミナルをバッテリー端子に戻してから、サーキットテスターのスイッチを「mA」に合わせて、赤テストプラグを「mA」へ差し替えます。
    ※マイナスターミナルを戻さずにテストプラグを抜いてしまうと、その瞬間に車両のメモリーが消えてしまいますのでご注意ください。
    スイッチとテストプラグを差し替えている写真です
  • ❽再度マイナスターミナルを引き上げて測定値を確認します。こちらの数値がmAレンジの測定値です。mAレンジの確度は「±2.0%rdg ±4dgt」で読み値(rdg)に±2.0%、最少桁(dgt)に±4の誤差が有り得ますが、Aレンジよりも正確な測定ができました。
    測定値が表示されている写真です
  • ❾測定終了後は、マイナスターミナルをバッテリー端子に挿入し、テストフックとワニグチクリップを外します。
  • ❿マイナスターミナルをバッテリー端子の根本まで挿入し、ナットを締めます。

■測定結果

  • 30mA未満:正常値です
  • 30mA以上:高めの値です

    ※電装品の多い車でなければ、何か原因があるかもしれません。

  • 100mA以上:異常の可能性あり

    ※バッテリーが上がりやすい状態ですので、原因を探る必要があります。

ページトップへ戻る